ピアノソロ
雨あがりの水たまり
A Puddle After the Rain
- 演奏形態
- ピアノソロ
- 楽器
- ピアノ
- ジャンル
- クラシック / 古典派
- 難易度
- 中級
- 演奏時間
- 約2分22秒
- ページ数
- 4ページ
- 整理番号
- AP-EGWTQ
この曲について
雨がやんだ昼さがり、水たまりに映る空へ少女が何度も跳びこむ情景を、短い序奏つきの古典派風ソナタ形式で描いたピアノ曲です。
una corda の Adagio で高い D のしずくが間をあけて落ち、フェルマータで雨がやむと、Allegro の第1主題では、一定の歩みで進む左手の上を、右手がスタッカートの分散和音で軽やかに跳び上がります。
ニ長調の第2主題は2回目に旋律が2オクターブ下の左手へ移るので、右手が16分音符で刻むさざ波は pp に抑え、水面に映った歌を mp cantabile で浮かび上がらせるのが勘どころです。
展開部ではしずくの動機がホ短調の misterioso で沈んだあと、agitato の16分音符から ff・sfz・subito p が鋭く入れ替わり、下降の走句とアルペッジョの和音で大きなしぶきが上がります。
属音 D の保続音の上で波紋がおさまると、曲は再現部へ戻り、コーダでは 8va の leggierissimo で光の粒が跳ねたのち、最後のしずくとト長調の和音で静かに閉じます。
物語
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朝から降っていた雨が、昼すぎにやんだ。
窓の外では、軒先から落ちるしずくだけが、まだ規則正しく音を立てている。
少女は長靴をはいて、そっと外に出る。
アスファルトのくぼみに、大きな水たまりがひとつできていた。
のぞきこむと、灰色の雲が映っている。風が吹くたびに、雲の形が揺れて崩れる。
しばらく見ていると、雲の切れ間から光が差しこんだ。
水たまりの中の空が、灰色から少しずつ青に変わっていく。
少女は思いきって、水たまりの真ん中に飛びこむ。
しぶきが上がり、映っていた空がばらばらに砕けて、光の粒になって跳ねる。
一度では足りなくて、二度、三度と跳ぶ。笑い声が通りに響く。
やがて波紋がおさまる。
水面はふたたび静かになり、こんどは澄んだ青空と、うすい虹を映している。
軒先のしずくは、もう落ちてこない。
少女は濡れた長靴のまま、家のほうへ歩き出す。
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